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とびきりの悲しみ持ちて微笑め 移ろう視線の先 まだ来ぬ闇の底なれば



沈み行く清澄なる中心点よ お前もまた己が罪に震え上がるのか



唐松林抜け来る遠雷 虚ろに止まる逢瀬の息 薄き瞳孔 しばしただ呆然とす



あのアララットの山頂に幻視すれば 箱船が揺れる軌跡 飲み込む水塊あり



眠れる森の奥深きに一際高き階段あり さて登ったものか 引き返したものか



薄たなびく程よき原の崩れし庵見え 山姥が集めし星くずをカリコリ食す蟇はおり



母の話 原野番外の湿地に遊びし瞳の大きい娘 樺太で口墨を入れたという



祖父の話 ナホトカに密航帰りの船底で抱き合う友はついに凍れり 乏しき北の地故に



輪舞する精霊 微笑みの風渡る始まりの日 13人目の仙女には気をつけろ



たとえば源流の一雫にか 月の小さな小さなクレーターにか
              閉じ込められたとして 心は寒さを感じるのだろうか