書檠を内に持つ 1行詩だけを表示


蒼球の 際より漏れし 神が息


ピンホール 記憶の抜けて見え


幻影は 路地を迂った そこ


月失いて燻る風間 轍啼く


切り外す羅針の先 過剰な圧縮あり


窓から這い出す人型 のぞみと言う名を持つ


薄切りの記憶 大空にクリップする


トラムペット 吸い込まれる月と君


沈む花 娘は何処 父も何処


岩陰に流れ落ちたる月 ペタル絡む


波の上を歩いて 躓いたことがあるとか


世界在るは 頁を捲ってか 閉じてか


深き闇浅き光 離れし唇に時揺らぐ


沈み返す川面に散り散りの陽 鮎になる


積乱雲 もう一つ空を乗せ 蝉鳴き止まず


香明の僅か残りし陵を抜け ただただ耳顫える


仄明るき位置 残る失月 一息でとや


離れぬ影 嫌なら暗闇に立て という


寝息にか 夢の結にか醒まされて


エクトプラズマ流舞する 気に映す想いとは


錆び 取り残された部屋の 陰陽礼賛もまた


嵐屋根を敲き 金縛りの我を抜け 内実揮発す


鰯雲流れ落ちる際に 虚宙の始まりありや


薪ストーブ 炎さえ身を捩らせ 愛終る


闇遠く さらに闇遠く きみ凍る