更新日 4/Dec/2011

一行詩の旧作を掲載しています。

新しい一行詩は逐次FaceBookでも

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ある晴れ渡った日に娘はやってきて ただ お父さん とだけ言った
私は向日葵のようにキミを見ていた キミは私の周りを一回りし そして 出て行った 私の首は今も結ばれたままだ」
風がためらっている 原野を過ぎればいいのか 川面を靡けばいいのか そして 私は爪先を揃えた」
たとえば源流の一雫にか 月の小さな小さなクレーターにか 閉じ込められたとして 心は寒さを感じるのだろうか」
天蓋鏡を境に等しく世界があるとして どちらを歩むのだろうか ならざるものは
雨足は屋根を敲き風は斜めに落ちるが部屋はいたって閑か で も 心の中が嵐だったりする
見えぬ天と地の間に一本のロープを張り ココロとカラダの間を 行き交ってはどうか
幼き欲望 小(リトル)ステップで膨らみおり
豊かなる敗残の証し影座る 淡き逆光のベンチ
鰯雲流れ落ちる際 虚宙(こくう)の始まりありて 我立ちすくむ
寝息にか夢の結にか醒まされて つと指先を空に這わす 扉はどこ
老い行く境 萎えし体躯を棚上げせよ 新しき眼となり
金色のフンデルトワッサーが塔 頬を切る 湾岸高速の快 それ、ワーゲンよ六甲に突っ込め!」
君が影 凍み残る部屋(ここ) 温もりは缶飲料のみ
己が叫声ただ侘びし この田舎(くに)に謝るという語類なし
移ろう視線に懇意ある だが 我まだ果て行かん 凛と波紋の一撃かな
嘔吐するほど飲む 路端に寝込むほど騒ぐは 昨今老人のすることなり
何求め 移りし異郷の侘び住まい すべては渦なるぞ
淋しかるや求道の 何時になく味なし 一汁一菜
戯けたことをと軋む肉(しし) 夏のシャワーに玉の汗
蒼球の 際より漏れし 神が息
ピンホール 記憶の抜けて見え
幻影は 路地を迂った そこ
月失いて燻る風間 轍啼く
切り外す羅針の先 過剰な圧縮あり
窓から這い出す人型の影 のぞみと言う名を持つ
薄切りの記憶 今 大空にクリップす
トラムペット 吸い込まれる月と君
沈む花弁 流離う花葉 娘は何処 父も何処
岩陰に流れ落ちたる月 ペタル絡む
波の上を歩いて 躓いたことがあるとか
世界在るは 頁を捲ってか 閉じてか
深き闇浅き光 離れし唇に時揺らぐ
沈み返す川面に散り散りの陽 鮎になる
積乱雲 もう一つ空を乗せ 蝉鳴き止まず
香明の僅か残りし陵を抜け ただただ耳顫える
仄明るき位置 残る失月 一息でとや
離れぬ影 嫌なら暗闇に立て という
エクトプラズマ流舞する 気に映す想いとは
錆び 取り残された部屋の 陰陽礼賛もまた
薪ストーブ 炎さえ身を捩らせ 愛終る
闇遠く さらに闇遠く きみ凍る